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COLUMN

【ビジネスモデルの変遷で見る近年のコンサルティング業界の概観】

前回のコラム( 『戦略コンサル』、『総合コンサル』、『ITコンサル』・・・、正しく分類出来ますか?①|DCT – キャリアコンサルのプロフェッショナル )で、『戦略コンサル』、『総合コンサル』、『ITコンサル』といった、長年、コンサル業界内のプレイヤーを分類するために使われてきた言葉や考えでは、昨今のコンサル業界の実態を表現するのは難しく、図1の6つの箱(=『戦略』、『マネジメントコンサル/業務コンサル』、『テクノロジーコンサル』、『SI』、『システム保守・運用』、『ビジネスプロセスアウトソーシング』)を塗り絵だとした場合、どの箱をどれぐらい濃く塗っているかで表してみると、各ファームのビジネスモデルが浮き彫りになってくるのではないかとお伝えさせていただきました。

その上で、10年前には全くビジネスモデルが異なっていた『戦略コンサル』に分類されるファーム(図2の左)と監査法人系コンサルティングファームであるBig4の一角を占めるファーム(図2の右)が環境変化に応じ、現在では塗り絵のレベルではほぼ同じようなビジネスモデル(図2の真ん中)となっていることもお伝えさせていただきました。

さて、こうなってきますと、6つの箱の2段目にあたる『マネジメントコンサル/業務コンサル』、『テクノロジーコンサル』であれば、前回のコラムで触れた6つの箱の全てを真っ黒に塗りつぶしているアクセンチュア、上述の『戦略コンサル』に分類される図2の左端のファーム、および、同図の右端のBig4の一角を占めるファームの全てが実施しているので、そこをやられたい転職希望者の方にとっては、3つのファーム全てが最適な選択肢になるように思います。

果たしてそうでしょうか?

答えは、半分Yes、半分Noです。
転職して、「やりたいと思っていたことはやれているけど、何だか思うようにはやれていない・・・」といった姿に陥ることもあるのです。

どうして「思うようにはやれていない」のか、再び6つの箱を使って紐解いてみますと、6つの箱は、上2段と下2段で、ある観点による大きな違いがあります。
その観点とは、ずばり『お金』、ファーム側から見ると『売上規模』です。
上2段の案件・テーマをクライアントから依頼された場合、数千万円から多くても1桁億円の前半の売上となる中、下2段の案件・テーマでは、2桁億円からヘタすると3桁億円に届くことも少なくありません。
このことが何を意味するかと言うと、下2段も塗っているビジネスモデルを選択しているファームの場合、どうしても、1段目の『戦略』や2段目の『マネジメントコンサル/業務コンサル』、『テクノロジーコンサル』の依頼をクライアントから受けた場合、3段目の『SI』以降につながる、つまり、2桁億、3桁億のビッグディールにつながるか否かがチラついてしまうことが避けられないということになります。
チラついた結果、どういう意思決定がなされるかと言いますと、人手不足が慢性化しているコンサル業界ですので、アサイメントに関する会議で優先順位を下げられたり、ヘタすれば、新しい案件の実施可否を検討する場で見送りという判断になったりします。

※案件で求められるスキル・経験等と稼働率に余裕があるコンサルタントのスキル・経験等をマッチングさせ、
どの案件にどのコンサルタントを配置するかを決めること

また、マネジャー以上等で、セールスやデリバリーのKPIを課せられる立場になった場合、上述のように、上2段と下2段でディールサイズが大きく異なるので、下2段も塗りつぶしているファームで課せられるKPIは高くなりがちなこともあり、6つの箱の2段目にあたる『マネジメントコンサル/業務コンサル』、『テクノロジーコンサル』を担当領域としている方がそのKPIをクリアすることはより難しく感じるかもしれません。
勿論、各ファームは、KPI設定のルールを工夫する等もしていますが、ビジネスモデルの変換期、つまり、塗り絵の塗られ方が変わるタイミングで上述のような悩みを持ってご相談にこられる転職希望者も少なくありません。

2回にわたり、6つの箱を塗り絵に見立て、コンサル業界のビジネスモデルの変遷についてお伝えさせていただきましたが、如何でしたでしょうか?
昔ながらの『戦略コンサル』、『総合コンサル』、『ITコンサル』・・・といった、今となってはざっくりとした分類でご判断されるのではなく、各ファームのビジネスモデルをしっかりご理解の上、次のキャリアの最適な候補先を選ぶ一助になっていれば幸いです。

そして、業界全体や固有のファームの情報が足りなかったり、何か迷ったりということがございましたら、いつでも当社にお気軽にご相談ください。