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COLUMN

コンサルティングキャリアにおける専門性のバリエーション - インダストリー編 ①(製造業)
-将来にわたって武器になる専門性の確立-

前回のコラム(コンサルティングキャリアにおける専門性のバリエーション -将来にわたって武器になる専門性の確立-)では、コンサルティングファームの組織体制(≒サービス体制)がコンサルティング業界全体として時代と共に変遷してきた点をお伝えするとともに、初回として、「インダストリー」と「サービスライン」の概観について解説をしました。

今回は、「インダストリー(業界)」チームについて、いくつかの製造業領域のサービス内容にも触れつつ、もう一段掘り下げていきたいと思います。

製造業におけるサブセクターの概観

製造業は、大きく、自動車、重工業・エンジニアリング・建設、化学・素材、産業機械・精密機器、食品・日用品・消費財などのサブセクターで構成されており、それぞれのサブセクターごとに製品・サービスの性質が異なるとともに、業界を取り巻くメガトレンドや主要企業の動向も異なっています。

各業界に対峙しているコンサルティングのインダストリーサイドのチームも、対峙している業界の動きやステージに応じて様々なコンサルティングサービスを展開していますが、時代とともに取り組み内容も変わってきております。

「1.既存モデルの従来型の継続的改善」⇒「2.デジタルを最大限活用した抜本的改革」⇒「3.既存の延長線上ではない新たな革新」の3つの取り組み

古くは、クライアント企業内の既存の業務オペレーションをいかに高度化・効率化していくかという目線での取り組みや、業界の中での新規事業・サービスの戦略や構想などの取り組みが多くを占めていましたが、近年は、その手段や目線が変わってきたことで、取り組みのスピード感も大きく変わってきた感があります。

既存の業務オペレーションの高度化・効率化にしても、AIなどのデジタルテクノロジーを最大限活用することで抜本的な変革による圧倒的なインパクトを実現することが当たり前になってきていますし、新規事業・サービスの検討などにもAIを活用しながら複数企業を巻き込むエコシステムを組成していくような取り組みの数も増えてきたと感じています。

例えば、自動車業界では、既存のクルマのラインナップと消費者の嗜好を踏まえていかに良いクルマを効率的に作るかという継続的な取り組みや、既存のクルマに関するブランディング・マーケティング施策、そのためのITプラットフォームの機能増強といった取り組みは長年実施し続けてきておりますが、一方で、最先端技術の変化による新たなモビリティ時代への突入、サプライチェーンの混乱、気候変動レギュレーションに至るまで、ダイナミックな市場環境変化に直面しており、そもそもの製品自体もSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)へ移り変わりを迎えており、その中でのデジタルでのモノづくり・カスタマイズ、新たなエコシステムの醸成、ユーザー体験の再設計などの大きな取り組みを推進しています。
根幹の製品開発やモノづくりオペレーションにおいてもデジタル・AIが当たり前に組み込まれ始めており、また、台頭する海外メーカーの中には圧倒的なスピードでEVを市場投入してマーケットでアドバンテージを確保する企業も現れており、これまでに確立してきたアドバンテージありきではない形でのオペレーションエクセレンスを構築しにかかっている状況です。

モビリティカンパニーとしての側面に加えてエネルギー関連領域への拡大も図っており、EVに端を発して家庭や地域全体の電力利用を最適化するエネルギーマネジメント領域や、燃料電池車(FCV)の開発をきっかけに水素の製造・輸送・貯蔵技術の開発にも取り組んできています。

また、同じ自動車業界でも自動車部品業界はOEMメーカーとは違なる業界変革のうねりの真っただ中にあり、大手系列や独立系メーカーも含めて、既存のガソリン車ベースの部品提供というビジネスモデルからの転換に向けた新たな投資・M&Aの推進や、既存領域での抜本的な効率化・リストラクチュアリングなどの待ったなしの取り組みも進行しています。

更には、新たなセグメントにもなる可能性のある、大阪・関西万博でも注目を集めた空飛ぶクルマについても、機体の製造を担うメーカー以外にも、通信、公共(航行ルート規制・特区)、プラットフォーム・アプリ(IT・テクノロジー業界)、ポート施設(ゼネコン・不動産)、集客・送客(旅行代理店等)などの複数業界を横断的に繋げたサービス開発を経て新たな産業・社会を創っていく取り組みが進行しており、今後、当然のようにAIやデータ利活用がサービスプラットフォームに盛り込まれてくることになるかと思います。

これら100年に一度と言われる業界の変革期において、本社のマネジメントや企画部門としては、現場レベルでのマーケット動向や販売見通し、競合の動きなどに加え、海外の各リージョンでの規制への対応や気候変動などサステナビリティへの対応を、財務の健全性を保ちながら適切な舵取りが求められており、それらを実現するコーポレートプラットフォームにおいてもAIを積極導入することで、タイムリーで幅広い情報入手・整理とそれらをベースとした将来予測の精度向上などの取り組みも推進しています。

その他製造業においても広く「2.デジタルを最大限活用した抜本的改革」「3.既存の延長線上ではない新たな革新」の取り組みが進行中

例えば、重工業・エンジニアリングの業界においても同様に大きな変革が起きており、プラント、航空宇宙、エネルギーなどに関わる領域のビジネスを展開している中で、マーケットとして東南アジアやインドが魅力的な市場に成長してきており、また、競争環境としても、従来にも増して中国・韓国などの海外メーカーと競争する局面が増加する中で、「デジタル・AI」と「サステナビリティ」という2つの要素がビジネスに変化をもたらしてきています。

既存の稼働中のプラントのマネジメントにおいてもAIが導入されつつあり、稼働状況のモニタリングや予知保全などの領域で、従来のオペレーションとは大きく変革を遂げる取り組みが推進されています。

また、従来はメーカーとしてモノづくりをする過程で多くのCO2を排出していた企業においても、現在は、サステナビリティ経営の高まりを受けてCO2削減ソリューションを開発して広く企業に提供する側に回るなど、新たなビジネスモデルを創出して事業拡大を図っている企業も出てきています。
加えて、水素やSAFの開発を通じて新たなエネルギーカンパニーのエコシステムとしてプレゼンスを高めつつある企業など、自社に閉じることなく、大きなエコシステムの中で複数の企業と連携しながら新たなビジネスモデルを展開しつつグローバルレベルでの社会課題解決にも大きく貢献するような取り組みも進行しています。

コンサルティングファームのサービスも「抜本的改革」「革新」を先導・伴走する形へと変貌しつつある

時代とともに各業界のトレンドや競争環境も変わり、リーディングカンパニーの経営課題も変化しているため、それに応じてコンサルティングサービスも進化し続けてきています。

前述の通り、コンサルティングプロジェクトの「テーマ」も変わり続けており、「必要となるケイパビリティ(デジタルケイパビリティの重要度が拡大)」も変わり、机上の戦略や構想に留まらず企画・起ち上げ・グロースの一連のフェーズを伴走しながらアジャイルで回し続けていくという「関わり方」も変わり、「向き合うステークホルダー」も複数社に跨る取り組みが増えてきており、事業会社でのキャリアと類似している側面もありながらも、事業会社では経験しづらい「業界の一歩先を見据えながら事業や社会の未来を創っていく取り組み」を複数経験できるのも魅力のひとつになります。

今回はインダストリーの中でもいくつか製造業の取り組み領域にフォーカスを当てた内容でしたが、その他の業界についても今後のコラムにて触れていきたいと思います。

当社はキャリア相談を通じて、「業界xテーマ」という点を常に念頭に置き、足元だけでなく将来にわたって強い専門性を身に着けていけるキャリア支援を実施することで、コンサルタントとしての専門性を高めたい/新たな領域のスキルを身に着けたいと考える方に加えて、新たにコンサルティングの門をたたく皆さまも全力で応援させていただいておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。