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COLUMN

転職支援事例 ~漠然とした悩みからの転職実現~

【はじめに】
当社のホームページの各ページや過去コラム等で当社のサービスの内容や得意領域、特徴といったもののご紹介を様々させていただいてきましたが、
今回は当社の過去の支援事例を取り上げ、より具体的な転職活動の動き方や当社の支援スキームのイメージアップに役立てていただければと思います。

【転職前提でない相談も関係の入り口に】
今回取り上げる求職者の方(以下Aさん)は当時20代半ばで、新卒で日系総合ファームへ入社し、順調に活躍されている方でした。現職に特段不満があったわけではないため、強い転職志向を持っておらず、情報収集の一環でマーケット状況や、競合ファームの動向、自身のマーケットでの市場価値を知りたいといった、転職前提ではない相談から当社との関係が始まりました。

【求められた情報提供は勿論のこと、キャリアカウンセリングも実施】
コンサル業界周辺の情報収集をしたいという前提だったので当社が日々の活動で得た情報を提供しつつ、ただ情報提供をするだけでなくAさんのキャリア形成の一助になればと思い、キャリアカウンセリングも並行して実施しました。

Aさんのそれまでのキャリアをヒアリングしたところ、当時在籍のファームでは特定のクライアント業界やオファリング、ソリューションに限定されず幅広い案件を経験してきており、その中でコアコンサルスキルといわれるコンサルタントに必要とされる汎用的なスキルはもちろんのこと、多様な案件を経験したからこそ、様々な業界や業務の知見や複数のシステム知見を養ってこられていました。いわゆるコンサル業界における「ジェネラリスト」として非常に順調に成長してこられていたと記憶しています。

【現状分析、飢餓感の特定、理想と現実のギャップの明確化】
一方で、コンサルタントとして自身の武器となる特定領域の専門性に関してはまだまだ自身の中に確立できていないという悩みがあることもわかりました。Aさんはコンサルティングという仕事に魅力を感じており、長期的にコンサルティング業界で活躍していきたいというキャリアビジョンを持ち、また、近い将来管理職への昇進を狙いたいという想いもあった中でコアコンサルティングスキル以外に自身の強みを身に着けていくことが今後不可欠になってくるのではというお話をさせていただき、この点に関してはAさんとしても納得感を感じていただけるものでした。

また、もう一つの悩みとして、多様な案件を経験してきているものの、システム導入などコンサル業界でいうところの下流の案件が多くなっているというものでした。こちらに関しては突き詰めていけば専門性の獲得に繋がる道ではありましたが、本人としては上流からゼロベースで構想を練るといった案件をもっと経験したいという想いがあり、自身の志向とのギャップが生じていました。当時在籍していたファームはシステム導入周辺のフェーズをビジネスの主戦場にしていたということもあり、上流案件への参画希望も出していたものの中々そういったプロジェクトへのアサインが叶わず、また、マネジメントからもシステム領域に強くなっていってほしいという期待をされているという状況でした。

専門性に関しては、当時在籍していたファームでもいずれかの専門性をつけていく方向にシフトしていくことはできた可能性はありましたが、上流案件をメインにという希望に関しては、下流中心の案件ポートフォリオが短期間で劇的に変化することは難しく思われたため、専門性の獲得に加えて上流案件への参画を叶えられるコンサルティングファームを目指し転職活動をスタートさせることになりました。

【幅広い可能性がある中でどの選択肢を選ぶのか】
どういった専門性を強化していくのかという点に関しては、そもそもコンサルティングファームの中途採用のハードルは決して低くない中で、全く経験のない領域の専門性を1から獲得していくための転職となるとさらにチャレンジングな転職となってしまうため、一定経験値や知識がある領域の専門性を伸ばしていくのがいいのではと提案をしました。Aさんは特定領域の強い専門性は持っていなかったものの、プロジェクトを通じて様々な分野の土台となる知識や経験を持っていたため、選択肢が幅広くあり、具体的には、特定の業界のクライアントの支援を集中的に行い業界知見を深める、戦略、財務会計、サプライチェーン、マーケティングといった個別テーマに特化した専門性を深める、ERPの導入などIT/テクノロジーの専門性を深めるといった様々な方向性が考えられる状況でした。

EPRの導入といったIT領域の専門性に関しては本人の上流志向とはあまり合致しないためひとまず検討外にするとしても、それ以外の選択肢も幅広い中で本人と議論を深めていき、最終的には財務会計領域の専門性を伸ばしていこうという結論に至りました。

この結論に至った理由として、会計系のプロジェクトの経験があったこと、簿記の資格やSAPの会計系モジュールの資格を保有していたため、会計領域の基礎知識も保有していたこと、中長期的にコンサルティング業界で活躍していきたいという想いがある中で、企業活動の根幹である会計周りの知見は腐りにくく、いずれキャリアチェンジを考えることがあったとしても身に着けておいて損のない領域だという点が主な理由になります。

また、会計領域の経験プロジェクトはシステム導入案件であったものの、会計領域の改革案件においてはシステム領域の改革をセットで行うケースがほとんどであるため、上流の構想策定を行っていく中でも最終着地点となるシステム領域の知見を持っていることは大きなメリットとなるだろうということで、経験や資格を余すことなく活かせそうだという点も決め手でした。

【最適なポジションの見極め】
会計領域の改革を行うチームは多くのコンサルティングファームにありますが、その中でもどのコンサルティングファームを受けるのかという点に関してもしっかりと議論をして決めました。

専門性の獲得以外にも
・中長期的に腰を据えてサステナブルに働くことが見込めそうなファームを希望
・まだまだ成長途上だと思っているので育成やアサインがしっかりしたところが理想
・可能であれば待遇面のアップもできるとうれしい
といった希望を持っていることが分かったため、この条件に合致するファームを3社ほど提案し選考に進むことになりました。

もしかすると、「3社しか応募しないのは少なくないか?」と思われる方もいるかもしれませんが、当社では基本的に多くの企業やポジションに応募を勧めるといったことはせず、求職者の方の得たいものやキャリアビジョンに合致するファーム、ポジションに絞って応募することを推奨しています。転職の場合、就業しながら転職活動をされる方が多いですが、そういった方は特に対策や面接に充てられる時間が無尽蔵にあるわけではないため自身の志向にあった候補に絞り、企業研究や面接対策を行ってチャレンジする方が効率も良く、結果的に満足のいく転職活動に繋がりやすいと考えています。
(もちろん、どこを受けるか、どのくらい受けるかといった点に関しては個々人の状況や志向に応じて柔軟にサポートさせていただいています。)

当社のサポートに関する特徴に関しての詳細は過去のコラム
数字で知るDCTと転職活動|DCT – キャリアコンサルのプロフェッショナル
をぜひご覧ください。

【オファー確度を上げる徹底した面接対策】
面接対策として、まずは当時の各コンサルティングファームの会計領域の改革を行うチームがどういったプロジェクトを行っているか、その中でも注力領域はどこか、どういった人材が求められているのか、といった点を当社で日常的に蓄積している情報をもとに改めて整理を実施。その中で現状のAさんのケイパビリティですぐにバリューを発揮できそうな部分と、今後身に着けていかなければいけない、成長させていかなければいけない部分をそれぞれピックアップしながら現状分析を実施し、現状分析をもとに、「転職理由」、「なぜ○○コンサルティングなのか」、「なぜ会計領域のチームなのか」、「どういった案件をやっていきたいか」、「自身の強みや弱み」といった転職活動の根幹に繋がる部分を中心に面接対策サポートを実施。

また、上流案件に注力できるチームということで戦略寄りの思考力の有無も合否に大きく影響するだろうということでケース面接対策にも力を入れ様々なパターンのケース対策を通常の面接対策と並行して実施。

【オファー獲得に繋がった熱意の醸成】
実際の選考では事前対策を入念に行ってきていたこともあり、基本的な部分では詰まることなくしっかりと対応することができました。対策の中で各ファームの取り組みを掘り下げて把握したうえで、自分自身の強み弱みの分析を行い「この領域では即戦力として活躍できる」、「現状の自分に足りていない領域はこのような形で伸ばしていきたい」という活躍や成長に関する入社後ビジョンを自分なりに持つことができていたため会計領域の経験や知見が足りていないという弱点に関しても大きなマイナスポイントとなることはなく、ベースとして培っていたコンサルティングスキルという部分はしっかりと評価してもらえたこともあって、各ファームで高評価を獲得。

高評価を得ることができた要因として、コンサル経験をしっかり持っていたこと、対策を入念に行ったことはもちろんですが、当初は会計領域に対して強い熱意があったわけではなかったものの、面接対策を通じて「この領域で活躍していきたい」という熱意を醸成することができたことも大きかったように思います。

コンサルティングファームの選考においてはそれまでの経験や持っているスキル・知見といった点ももちろん重要ですが、なぜコンサルなのか、コンサルで何をやりたいのかといったコンサルティング業界にかける情熱といったものも重要視されるケースが多いと感じます。実際に様々なコンサルティングファームのパートナークラスの方から「多少のスキル不足、経験不足があっても熱意があればカバーできるし、入社後のキャッチアップも早い」といったお話を伺うことは多いです。

最終的に、1社は当時の会社状況やチーム状況とAさんの志向に少しギャップがあったため残念ながら最終面接で見送りとなってしまったものの、2社からは待遇面も大きくアップする形でオファーを獲得することができ、ビジネス戦略やカルチャーに関して自身の志向に合っていると面接を通じてより強く感じられたそのうちの1社への転職を決められました。

【Aさんの現在】
転職後は会計領域の上流の支援に軸足を置き、会計領域の知見や上流フェーズの経験を蓄えることができており、良い意味で想像していた以上の状況を味わえているとのことでした。Aさんが入社したのはコンサルティング業界でもプレゼンスの高いトップクラスのファームですが、その中でも常に高評価をとり続け、目標としていたマネージャーへの昇進も早期に実現することができました。非常に満足度の高い転職だったとおっしゃっていただけており、エージェントとして冥利につきる支援例となりました。

Aさんが転職されてからしばらくたちますが、お付き合いはずっと続いており、最近では「専門性も身に着けることができ、管理職への昇進も実現した中でこの先のコンサルキャリアのアドバイスが欲しい」とご相談を受けました。

管理職という以前と比べさらに顧客との前面に立てる職位になったということもあり、身に着けた専門性を活かしつつ、顧客との関係構築が得意かつ好きといったAさんのパーソナリティをより活かせる方向へシフトしていくのがいいのではと提案させていただき、結果として今回は転職ではなく業界軸のチームへ社内異動をされることになりました。現在はそのチームで会計領域の専門性を活かせるプロジェクトにおいて顧客折衝のキーパーソンとしてご活躍されています。

こうした形で社外のキャリア相談相手として長くお付き合いをさせてもらっている方も多くいるのが弊社の特徴の1つでもあります。

【おわりに】
今回は当社のキャリアコンサルティング、転職支援のイメージアップをしていただければと思い、実際の支援事例を取り上げました。

今回取り上げたのはコンサルティングファーム出身の方ですので、同業種のコンサルティングファームへ転職すること自体のハードルは高くないだろうと思われる方もいるかもしれません。確かに、コンサル出身者の方はそれ以外の業界出身者の方より内定率は高いでしょう。一方で労働市場にコンサルタントの数が増えてきており、コンサルタントの存在自体がコモディティ化してきているのも事実だと考えています。老舗のファームでは5,000人を超えて拡大を続けるファームも珍しくなく、創業間もないベンチャー系ファームも採用を加速させています。
マーケットに増えてきたコンサルタントの中に埋もれないためにも、今回ご紹介したAさんのように、キャリアビジョンに合わせてどういった強みを身に着けていくか自己分析をしっかりと行うといった形で自身のキャリアに対しての視座も高く持つ必要があると捉えています。

Aさんの支援もまさにそうでしたが、転職ありきではないふわっとした形からお付き合いが始まるケースも数多くあります。他社の状況、自社の業界内でのポジショニング、自身の市場価値といった点を定期的に確認することも、より良いキャリア形成の一助になるかと思います。そういった転職ありきでない情報収集を前提のご相談も大歓迎ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。